Geopolitic
中国マフィアと中国共産党:非公式ネットワークが党・国家統治を支える構造(後編)
2020年の米財務省制裁文書から始まる 2020年12月、米財務省の制裁通知にマカオ人の名が載った。通称ブロークン・トゥースこと尹國駒(Wan Kuok-koi)である。米財務省は彼を14K三合会の主要指導者と認定し、麻薬密売、違法賭博、恐喝、人身売買に関与した組織犯罪人物として制裁した。注目点は犯罪指定だけではない。洪門系団体が一帯一路や中国の夢といった中国共産党の政治語彙を用い、愛国や文化交流の言葉で違法活動を隠しているとも指摘したのである(U.S. Department of the Treasury)。 ここが本稿(後編)の入口である。問題は「中国共産党がマフィアを全面統制する」という単純図式ではない。党・国家機構、統一戦線機関、在外華人団体、地下金融、組織犯罪が、完全に分離せず互いを利用し合う構造である。犯罪組織は政治語彙でビジネスを正当化する。国家側は資金経路、人脈、地域支配、情報、必要時の圧力を得る。目的は同一ではないが、接点がある。 フィリピン・バンバンの郭艾蓮(Alice Guo)と、カリフォルニア州アーケディアの王怡琳(Eileen